糖尿病内科とは
糖尿病は動脈硬化を引き起こし心血管病を誘発するため、また癌や認知症を発症しやすくさせるため、厳重な管理・治療が必要です。
糖尿病治療に関わる薬は有効なものが数多く開発されており、患者さまによって、それらをどう組み合わせて使用していくかには、より専門的な知識と経験が必要になってきます。
当院の糖尿病内科では、患者さま一人一人と向き合い、それぞれのお体の状態を丁寧に診察し、それぞれの症状に合わせた治療を行って参ります。
糖尿病について
糖尿病とは、血液中の血糖値が通常よりも慢性的に高くなる病気です。通常、健康な人の血糖値(血液中の糖分=ブドウ糖の濃度)は、空腹時に70~100mg/dl、となっています。
食事をすると血糖値は上がりますが、上限は140mg/dlくらいです。これよりも血糖値が高い状態を高血糖と言います。高血糖の状態が慢性的に続くと、糖尿病と診断されます。
糖尿病はその原因により、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病があります。その違いは以下の通りです。
Ⅰ型糖尿病 (インスリン依存型) |
遺伝的要因やウイルス感染などによる自己免疫疾患などが原因で、膵臓の細胞が破壊され、膵臓からインスリンがほとんど分泌しなくなることで発症する糖尿病です。若年層で発症することが多く、治療にはインスリン自己注射が必要になります |
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Ⅱ型糖尿病 (インスリン非依存型) |
遺伝的要因もありますが、基本的に運動不足や過食、ストレス、睡眠不足、喫煙などの生活習慣を原因として発症する糖尿病です。この他に、膵炎や膵がんなどの特定の疾患によるものや、妊娠中に糖代謝の異常で起こる妊娠糖尿病などがあります。こちらも重篤になるとインスリン自己注射治療が必要になります |
上記のうち、Ⅱ型糖尿病は生活習慣病とされ、日本ではおよそ6人に1人が、Ⅱ型糖尿病、あるいはその疑いがあると言われており、糖尿病全体の約9割がⅡ型糖尿病とみられています。
当初の高血糖の状態では自覚症状はほとんどありませんが、長い間放置していると、全身の大小の血管にダメージが与えられ、障害が起こることにより、慢性的な合併症が引き起こされます。怖いのはこの合併症です。
慢性の合併症には、大きな血管が傷つくことによっておこる大血管症と、細い血管が傷つけられることによって起こる細小血管症があります。大血管症は、主に糖尿病等によって引き起こされる動脈硬化などが原因となるもので、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、抹消動脈疾患などがあり、細小血管症には以下の糖尿病の3大合併症といわれるものがあります。
糖尿病網膜症 | 網膜を走行する血管に障害が生じ、最悪の場合失明する危険性があります。 |
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糖尿病腎症 | 腎臓機能に障害が生じ、余分な水分や老廃物を体外に排出できず、透析が必要になる場合もあります。 |
糖尿病神経障害 | 高血糖による神経細胞の変化や、動脈硬化による神経細胞への血流が滞ることで神経に障害が起こり、最悪の場合、下肢切断や全身性の感染症など命に関わる場合もあります。 |
糖尿病と診断された場合、特に合併症を引き起こす危険が認められる場合は、治療として薬物療法を行い、同時に生活習慣の改善に取り組むことも重要になります。
薬物療法では、インスリン治療とインスリンでない薬による治療があります。インスリン治療はⅠ型糖尿病の患者さま、およびⅡ型糖尿病の患者さまで、他の薬物療法で効果が十分にあげられなかった場合に、人工的にインスリンを投与するものです。
自己注射によって行い、食餌の管理も厳密に行っていきます。インスリンでない薬物治療としては、内服薬としてSU剤やグリニド系薬、ビグアナイド薬、α-GI、SGLT阻害薬などがあります。
これらはインスリンの分泌を促したり、その働きを高めたり、あるいは食後の糖の吸収を遅らせたり、血液中の糖を尿に排泄させたりと、各種、様々な効果が期待できるものです。また注射薬として血糖を下げるGLP-1受容体作動薬などもあります。これらの薬剤を、患者さまの状態に合わせて組み合わせ、使用していきます。
糖尿病の予防あるいは合併症を引き起こして重症化しないようにするためには生活習慣の改善が欠かせません。そのひとつが食事療法です。食べ過ぎや飲み過ぎに注意し、バランスの良い食事を規則正しくとり、肥満を予防して、血糖値が高くならないよう気を付けることが重要です。
特に夜遅くの食事は血糖値を上げやすいので、控えたほうがよいでしょう。もうひとつ大切なのは運動療法です。これは糖を細胞に取り込む過程をコントロールしているホルモン「インスリン」が働きやすく、血糖値が高くなりにくい体を作るということです。
肥満、特に内臓脂肪型の肥満ではインスリンが十分働かずに血糖値が高くなりやすく、筋肉質の人ではインスリンが働きやすく、血糖値が上がりにくいと言われています。ウォーキングや体操、筋肉トレーニングなどの運動を心がけ、筋肉を動かして体重を適切に保つことが大切です。